鉄道特定技能、2026年8月に運用要領改正 5業務区分と2027年育成就労で人材確保を本格化
2026年9月15日
国土交通省は2026年8月28日、鉄道分野の特定技能運用要領を改正した。軌道、電気設備、車両整備、車両製造、運輸係員の5区分に加え、2027年には育成就労も始まり、人材育成の長期化が進む。
鉄道分野で制度整備が一段進む
国土交通省は2026年8月28日、鉄道分野の特定技能外国人受入れに関する運用要領を改正した。鉄道は2024年に特定技能1号の対象へ追加された比較的新しい分野だが、2026年には育成就労制度の運用要領や育成・キャリア形成プログラムも整備され、2027年4月からは外国人を育てながら確保する仕組みが本格化する。
鉄道分野には軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員の5業務区分がある。それぞれ試験実施主体が異なり、2025年に各区分の特定技能評価試験実施要領が整備された。鉄道会社だけでなく、保線、電気、車両整備・製造など鉄道インフラを支える関連企業に外国人材活用の選択肢が広がった。
人手不足1万8400人予測が制度の背景
2024年に決定された分野別運用方針では、2028年度に鉄道分野で約1万8400人の人手不足が見込まれるとの推計を前提に、生産性向上で約1300人、国内人材確保で約1万3200人分を補っても不足する最大3800人を特定技能1号の受入れ上限として設定した。自動化が進む鉄道でも、線路、電気設備、車両の保守など人の技能を必要とする業務は残る。
特に地方鉄道や保守関連会社では人口減少により採用母集団そのものが縮小している。外国人材は一時的な欠員補充ではなく、鉄道インフラを維持する人材政策の一部として位置付ける必要がある。
5区分を混同しない配置管理
鉄道会社が実務で注意すべきなのは、採用した外国人が合格した試験区分と実際の業務を一致させることだ。例えば軌道整備の技能を確認された人材を、無条件に車両整備や運輸係員として配置できるわけではない。人員不足が発生するたびに部署を変更する運用では、在留資格上の業務範囲とずれる可能性がある。
人事部は外国人ごとに試験区分、在留資格、担当業務を管理し、異動時には制度上可能かを確認する仕組みを設けたい。現場管理者にも区分の違いを理解させる必要がある。
育成就労では安全文化の教育が核心
鉄道分野は2027年から育成就労の対象となる。鉄道では指差喚呼、作業手順、線路閉鎖、電気設備の取扱いなど安全ルールの正確な理解が不可欠であり、単純な技能教育だけでは足りない。日本語の安全用語をどの段階で習得させるか、現場指導を誰が行うかを育成計画へ組み込む必要がある。
外国人本人も、試験合格だけを目標とせず、安全指示を正確に理解し報告できる日本語力を高めることが長期就労の条件になる。運輸係員のように利用客対応を伴う業務では、さらに高いコミュニケーション能力が求められる。
2027年以降は鉄道独自の育成モデルが試される
鉄道分野では2026年6月23日に育成・キャリア形成プログラムが示され、同日に特定技能協議会と育成就労協議会も開催された。制度の枠は急速に整っている。次に問われるのは、各鉄道事業者・関連会社がそれを現場教育へ落とし込めるかだ。外国人を単一作業へ固定せず、安全を守りながら技能を段階的に高める仕組みを作れれば、人口減少下の鉄道インフラ維持における新しい人材供給経路となる。