自動車運送業の特定技能、受入れが実働段階へ トラックとバス・タクシーで異なる免許・日本語要件
2026年9月15日
2024年に追加された自動車運送業の特定技能は、2026年に協議会で試験実績や受入れ状況の検証が進んだ。運送会社は評価試験だけでなく、日本の運転免許、N3・N4要件、職場認証まで含めた採用工程を組む必要がある。
制度創設から「実際に運転者を採用する段階」へ
2024年3月に特定技能の対象へ追加された自動車運送業が、2026年に本格的な運用段階へ入っている。国土交通省は2026年6月1日に自動車運送業分野の特定技能に関するFAQを更新しており、3月9日の第2回特定技能協議会では評価試験の実施状況、外国人受入れ企業へのアンケート、トラック・バス・タクシー各業界の取組などを検証した。今後は制度を知っているかではなく、免許取得まで含めて外国人を実際の運転者へ移行させられるかが企業側の課題となる。
自動車運送業の2024年度から5年間の特定技能1号受入れ見込みは最大2万4500人と設定された。対象はトラック、バス、タクシーであるが、必要な日本語能力と免許は同じではない。国土交通省資料では、トラックは日本語能力試験N4または国際交流基金日本語基礎テスト相当、バス・タクシーは日本語能力試験N3が求められる。運転免許もトラックでは第一種、バス・タクシーでは第二種免許が必要になる。
採用してすぐ特定技能運転者になるわけではない
海外人材を採用する際に最も注意したいのは、日本の運転免許取得までの時間である。国土交通省は、国内で運転免許を取得するための準備期間として特定活動による在留を認めている。資料上、トラック運転者は6カ月、バス・タクシー運転者は1年の枠組みが示されている。外国免許切替や日本での免許取得、技能試験、日本語要件、在留資格申請を一つの工程表にしなければ、採用した外国人が予定時期に乗務できない可能性がある。
運送会社は「入国日=乗務開始日」として人員計画を組むべきではない。免許取得期間中の生活費、教育、研修場所、給与なども含めた採用コストを計算する必要がある。
受入企業にも認証要件
自動車運送業では外国人本人の資格だけでなく、企業側にも条件がある。トラックでは「働きやすい職場認証制度」または安全性優良事業所、いわゆるGマークなどの認証、バス・タクシーでは働きやすい職場認証制度などが制度運用と関係する。外国人採用を検討してから認証取得へ動くと時間がかかるため、採用年度より前に自社の状況を確認しておくべきだ。
また運転業務は労働時間、安全管理、健康状態が重大事故に直結する。外国人だけ別の運行管理をするのではなく、日本人運転者と同じ点呼、健康確認、安全教育へ組み込むことが前提となる。
外国人本人にはN3が大きな壁になる可能性
バス・タクシーでは乗客への案内、料金説明、緊急時対応など接客を伴うためN3が必要とされる。運転技術に自信があっても、日本語学習が不足すれば就職できない。候補者は来日前から交通用語、地名、接客表現を含めて学習する必要がある。
一方、トラックはN4等から入れるため候補者層は広いが、実務では荷主、配車担当、倉庫との連絡がある。企業側が最低基準だけを見て採用すると、入社後の業務コミュニケーションで苦労する可能性がある。
今後は「免許取得成功率」が採用力を左右
自動車運送業は航空分野と同様、2027年開始の育成就労対象ではなく、特定技能1号を中心とした受入れとなる。そのため企業には、海外募集、技能試験、日本語、免許取得、特定活動、特定技能への移行を途切れなく管理する能力が求められる。今後は採用人数よりも、採用した候補者の何割を実際の乗務員へ移行できるかが重要な経営指標になるだろう。