木材産業の特定技能、本格受入れへ 5,000人枠と技能試験、製材工場が整えるべき安全・育成体制
2026年9月5日
木材産業は2024年に特定技能の対象へ追加され、従来の5年間の受入れ見込数は5,000人。技能測定試験が国内外で実施される中、製材・木材加工事業者が確認すべき試験、業務、安全教育を整理する。
木材産業は追加分野から本格運用の段階へ
木材産業は2024年に特定技能1号の対象分野へ追加され、その後、技能評価試験の実施や受入れマニュアルの整備が進んだ。林野庁は2026年2月に「木材産業分野 特定技能外国人 受入れマニュアル」を公開しており、制度は追加決定の段階から、企業が実際に採用・定着を進める段階へ移っている。
制度拡大時に示された2024年度から2028年度までの5年間の受入れ見込数は最大5,000人だった。木材産業は地域の製材・加工工場を中心に人手不足が続く一方、機械設備を扱う作業が多く、単純な労働力補充ではなく安全性と技能を備えた人材の育成が必要な分野である。
技能試験は木材産業独自に実施
特定技能1号として木材産業で就労するには、原則として木材産業特定技能1号測定試験と所定の日本語試験への合格が必要となる。林野庁は学習用テキストを公開し、日本語版だけでなくベトナム語、インドネシア語、英語、タイ語などの教材も整備している。海外採用を検討する企業にとっては、候補者教育を採用決定前から開始しやすい環境が整いつつある。
一方、「木材加工職種(機械製材作業)」の技能実習2号を良好に修了した者については、技能試験と日本語試験が免除されるルートがある。ここで重要なのは、単に木材関係の技能実習経験があればよいわけではないことだ。企業は技能実習の職種・作業、修了状況を確認し、免除対象に該当するかを最新資料で判断する必要がある。
機械安全は採用後教育の中心課題
製材・木材加工の現場では、製材機械、搬送設備、フォークリフト等を含め、接触、巻き込まれ、切創など重大災害につながる危険がある。技能試験合格者であっても、各工場の設備配置、停止手順、保護具、立入禁止区域まで知っているわけではない。企業は入社時教育を日本人向け資料の読み上げだけで済ませず、写真、図、動画、母語補助などを使い理解を確認する必要がある。
林野庁は外国人材の受入れ・定着促進に向け、企業側の制度理解の促進、説明会・相談会、優良事例の収集・周知なども進めている。採用担当者だけで制度を理解するのではなく、工場長、班長、安全担当者、人事担当者が共通のルールを持つことが重要になる。
育成就労との接続を見据えた技能表が必要
2027年4月1日からは育成就労制度の運用開始が予定され、木材産業も対象分野として位置付けられている。特定技能が一定の専門性・技能を持つ即戦力人材を対象とするのに対し、育成就労は人材の育成・確保を制度目的に含む。企業には、入社後に何を学び、どの時点でどの作業を任せるのかという技能形成の可視化が一層求められる。
2026年度中に企業が準備したいのは、業務一覧、技能レベル表、安全教育カリキュラム、日本語学習支援、評価・昇給基準、指導担当者の配置である。外国人採用を「欠員補充」として始めるより、数年後の熟練作業者を育てる仕組みとして設計する方が、木材産業の制度趣旨と実際の人材不足の双方に適合する。