林業の特定技能、2027年の育成就労開始を見据え制度整備 安全教育と技能形成が採用の核心に
2026年9月5日
林業は特定技能と2027年4月開始予定の育成就労の双方で外国人材を受け入れる分野となった。林野庁が2026年8月にQ&Aを更新する中、技能試験、安全教育、企業の受入れ体制を整理する。
林業は特定技能と育成就労の双方の対象
林業分野では、特定技能制度による即戦力人材の受入れに加え、2027年4月1日から運用開始予定の育成就労制度でも外国人材を受け入れる枠組みが整えられている。林野庁は2026年8月版のQ&Aや外国人材受入れの手引きを公開しており、企業には制度理解だけでなく安全・技能教育を含む受入れ体制の構築が求められる。
林業が特定技能の対象分野に追加されたのは2024年の制度拡大による。従来示されていた2024年度から2028年度までの5年間の特定技能1号受入れ見込数は最大1,000人で、育林、素材生産などが対象業務とされた。大量採用型の分野というより、技能と安全管理を伴う専門的な現場人材を段階的に確保する制度として見る必要がある。
技能試験と日本語能力だけで現場投入できるわけではない
試験ルートでは林業技能測定試験と所定の日本語能力試験が基本となる。技能実習2号からの移行については、候補者が修了した職種・作業と特定技能の業務との対応関係を確認する必要がある。企業は「技能実習を経験している」という理由だけで試験免除を判断せず、最新の運用要領と候補者の修了記録を照合すべきである。
林業では、チェーンソー等の機械、伐倒、斜面、落下物など重大災害につながる危険要因が存在する。そのため、在留資格上の技能水準を満たすことと、個々の事業体で安全に作業できることを分けて考える必要がある。危険予知、作業前ミーティング、退避方向、機械点検、緊急時の指示などを本人が理解できる日本語または補助言語で教育しなければ、制度上採用できても現場リスクは残る。
受入れ企業側にも教育能力が問われる
林業分野で外国人材を活用する企業は、職務内容、技能レベル、教育担当者、安全管理者、作業指示の方法を採用前に設計したい。山間部で勤務するケースでは住居、交通、買物、医療機関へのアクセスも定着を左右する。1号特定技能外国人については、住居確保や生活オリエンテーション、相談対応など法定の支援も必要となる。
また、日本人と同等以上の報酬という特定技能共通の基準を守るだけでなく、技能の向上を賃金や役割に反映する仕組みも重要になる。外国人本人から見れば、危険度の高い仕事でありながら数年間同じ待遇が続く職場より、技能習得に応じて評価される職場の方が中長期の就労先として選択しやすい。
2027年4月以降は「育てて特定技能へ」の設計が課題
2026年1月23日の政府決定では、特定技能と育成就労の分野別運用方針が一体的に整理された。育成就労は相当程度の知識または経験を必要とする技能を有する人材を育成・確保する制度として位置付けられ、2027年4月1日の開始が予定されている。
林業会社にとって今後の焦点は、採用ルートを一つ増やすことではなく、初期教育から技能向上、特定技能への移行までの訓練体系を作れるかどうかである。作業工程ごとの到達基準、安全教育記録、日本語教育、指導担当者を2026年度中に整理しておくことが、制度開始後の安定運用につながる。