外食業の特定技能1号、受入れ上限到達で新規受入れに制約 企業が理解すべき停止措置と制度設計
2026年9月5日
外食業では特定技能1号在留者の増加を受け、2026年4月から在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置が実施された。技能試験、対象業務、協議会加入と併せ、採用企業が確認すべき制度を整理する。
外食業は「採用できる人がいる」だけでは進められない局面に
外食業の特定技能1号では、2026年に受入れ見込数への到達を背景として新規受入れに大きな制約が生じた。農林水産省と出入国在留管理庁は同年4月13日、入管法に基づき在留資格認定証明書の一時的な交付停止措置をとる方針を示した。企業は候補者の試験合格だけで採用日を確定せず、最新の申請審査状況を確認する必要がある。
農林水産省によると、外食業の特定技能1号在留者は2026年2月末時点で約4万6,000人の速報値となり、当時の受入れ見込み数である5万人を5月頃に超えることが見込まれていた。受入れ見込数は単なる政策目標ではなく、一定の条件下で在留資格認定証明書の交付停止措置につながり得る制度上の上限として運用される点が重要である。
外食業の対象は調理だけではない
外食業分野の特定技能1号は、飲食物調理、接客、店舗管理など外食業全般を対象とする。試験ルートでは外食業特定技能1号技能測定試験に加え、JFT-BasicまたはJLPT N4以上などの日本語能力が基本要件となる。対応する技能実習2号を良好に修了した場合には、制度上の条件に従い試験免除となる場合がある。
2025年3月11日の分野別運用方針改正では、風営法の許可を受けた旅館・ホテルにおいても、一定の条件の下で特定技能外国人が飲食提供全般に係る業務に従事できるよう制度が変更された。したがって、ホテルレストランなどでの採用では、施設が風営法の許可を受けているという一点だけで就労不可と判断するのではなく、最新の分野別運用方針と具体的な業務内容を確認する必要がある。
協議会加入と在留申請は別問題
外食業の受入れ企業は食品産業特定技能協議会の構成員となることが求められ、在留諸申請前の加入が必要とされている。しかし、協議会加入証明書を取得できれば必ず外国人を受け入れられるわけではない。農林水産省は、交付停止措置後も協議会への加入申請を受け付ける一方、加入証明書が発行されても受入れができない場合があると明記している。
この点は採用契約や紹介会社との契約にも直結する。企業は「試験合格」「内定」「協議会加入」「在留資格の許可」を別々の段階として管理し、在留資格が認められる前に確定的な就労開始日を約束しないことが重要だ。海外採用では航空券、住居、送出し関連費用などが先行するため、誰がどの費用を負担するのかも契約段階で明確にしておきたい。
今後は定着と育成就労を含む人材戦略へ
農林水産大臣は2026年5月の会見で、既に受け入れている人材の定着、女性・高齢者を含む国内人材の確保、省力化投資を進める考えを示した。また、2027年4月から育成就労制度による外食分野への人材受入れが始まる予定である。これは、外食企業の外国人採用が「特定技能1号を何人採るか」だけでは設計できなくなることを意味する。
企業は現在の停止措置や審査状況を逐次確認するとともに、既存外国人の離職防止、2号へのキャリア形成、日本語教育、店舗責任者候補の育成を進める必要がある。採用数を増やすだけでなく、一人当たりの在籍期間と技能水準を高める人材管理が、制度変更期の外食業では重要になる。