特定技能制度は19分野体制へ、2026年運用改定と育成就労開始を前に企業が確認すべき制度全体像
2026年9月5日
特定技能制度は対象分野の拡大と運用要領・申請様式の改定が続く。2027年4月の育成就労制度開始も見据え、受入れ企業が2026年時点で確認すべき制度変更と実務対応を整理する。
特定技能は制度拡大と運用再設計の段階へ
出入国在留管理庁は2026年9月4日、「特定技能1号の分野ごとの受入れ見込数や在留者数等」を更新した。2026年は運用要領、申請・届出様式、分野別基準の改定が相次いでおり、2027年4月1日に始まる育成就労制度と合わせ、外国人材の受入れ制度は大きな移行期に入っている。企業にとって重要なのは、従来の採用方法をそのまま続けるのではなく、対象分野、在留資格、支援、届出、将来の育成就労から特定技能への移行までを一体で設計することである。
特定産業分野は19分野
出入国在留管理庁が2026年に公表している制度概要では、特定産業分野は介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環の19分野で構成される。制度創設時の14分野から対象範囲は大きく広がった。企業は自社の日本標準産業分類だけで判断せず、外国人に実際に担当させる業務が各分野の運用要領で認められる業務区分に該当するかを確認する必要がある。
1号の受入れ上限は令和10年度末まで80万5,700人
政府は人手不足の程度、生産性向上、国内人材確保の取組などを踏まえて分野別の受入れ見込数を設定している。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aでは、令和10年度末までの受入れ見込数について、特定技能1号80万5,700人、育成就労42万6,200人、合計約123万人という枠組みを示している。これは単純な採用目標ではなく、日本人の雇用機会や処遇への影響を考慮した制度上の受入れ上限として運用される。
2026年は申請・届出実務も更新
制度拡大と並行して行政手続も変化している。出入国在留管理庁は2026年8月20日に特定技能外国人の受入れに関する運用要領、申請・届出様式、提出書類一覧表を更新した。さらに4月1日からは定期届出制度が新ルールへ移行している。制度変更は人事部門だけで処理できる問題ではなく、現場責任者、給与・社会保険担当、支援担当、登録支援機関を含めた情報管理が必要になる。
育成就労との接続を採用計画に組み込む
2024年6月21日に公布された改正法は、一部を除き2027年4月1日に施行される。技能実習に代わる育成就労制度では、人材育成と人材確保を制度目的として明確化し、特定技能への移行を前提とした仕組みが構築される。したがって企業は「技能実習を何人採るか」「特定技能を何人採るか」を別々に考えるのではなく、育成就労から特定技能1号、さらに対象分野では特定技能2号へ進む複数年の人材計画を作る必要がある。
企業が今確認すべき項目
実務では、第一に自社が属する特定産業分野と業務区分、第二に技能試験・日本語試験要件、第三に分野別協議会や上乗せ基準、第四に1号外国人への支援体制、第五に最新の申請・届出様式を確認したい。制度ページが更新されても、過去に作成した社内マニュアルや雇用時チェックリストが自動的に更新されるわけではない。古い様式や旧要件を使い続けることが申請遅延につながり得るため、採用開始時と在留申請直前の二段階で最新版を確認する運用が合理的だ。
今後の焦点
今後は2027年4月の育成就労施行に向け、分野別運用、試験、日本語能力、転籍、送出国との協力枠組みなどの具体化がさらに進む。発表済みの制度と今後決定される運用を区別し、企業は出入国在留管理庁と各分野所管省庁の一次情報を継続的に確認する必要がある。情報確認日は2026年9月5日。