ビルクリーニング特定技能、2027年育成就労開始へ制度接続が本格化 企業は「採用」から「3年育成」へ
2026年9月15日
厚生労働省は2026年、ビルクリーニング分野の育成・キャリア形成プログラムや新制度の運用整備を進めた。2027年4月の育成就労開始を前に、清掃会社には採用後の技能育成と特定技能への接続を前提とした人材戦略が求められる。
2027年4月を境に外国人採用の設計が変わる
ビルクリーニング分野の外国人材受入れが、即戦力中心の特定技能だけでなく、育成就労から特定技能へつなぐ長期型の制度へ移ろうとしている。厚生労働省は2026年に分野別制度の整備を進め、8月28日にはビルクリーニング分野の特定技能外国人受入れに関する運用要領を改正した。2027年4月の育成就労制度開始を見据え、清掃会社にとって今後1年は採用数を増やすだけでなく、外国人をどの工程で育て、どの水準まで技能を高めるかを設計する期間になる。
2026年5月19日に開催されたビルクリーニング分野特定技能協議会では、新たな特定技能・育成就労制度、分野独自の上乗せ要件、育成・キャリア形成プログラムなどが議題となった。厚労省資料では、2024年度からの5年間における特定技能1号の受入れ見込みは最大3万7000人。2023年6月からは特定技能2号も利用可能となっており、1号で経験を積んだ外国人が、熟練人材としてより長期的に日本で働く経路も整っている。
1号試験はCBT化、入口の拡大が進む
採用側にとって大きな変化の一つが試験インフラの拡充だ。ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験は2025年3月10日からCBT方式へ移行した。厚労省の2026年5月資料によれば、2025年度は2月末時点で6255人が受験し4049人が合格、合格率は64.7%。累計では2万1972人が受験し、1万7351人が合格している。2026年度も各国のテストセンターで通年実施する計画とされ、従来より候補者を継続的に確保しやすい環境になっている。
一方、2号への移行は容易ではない。同じ資料では2025年度2月末時点の2号評価試験は164人受験、16人合格で合格率9.8%、累計でも270人受験、29人合格だった。これは1号採用後に単純な勤続年数だけで2号へ進めるわけではなく、現場管理や作業計画を含む高い技能を計画的に身につけさせる必要があることを示している。
受入れ企業は「どの清掃でも可能」と考えない
実務では業務範囲の管理も欠かせない。厚労省はビルクリーニング分野の主たる業務を、多数の利用者が利用する住宅以外の建築物内部の清掃で、評価試験の技能範囲に含まれる作業と整理している。ホテル客室、病院、オフィス、商業施設など現場が多様化しても、外国人を単なる人手として配置するのではなく、職務記述書と実際の作業内容を照合する必要がある。
さらに育成就労では、受入れ営業所について建築物衛生法に基づく建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の都道府県知事登録など、分野固有の要件が設定されている。登録は法人全体ではなく営業所単位である点にも注意が要る。複数支店で外国人を受け入れる会社は、どの営業所が制度上の受入れ主体になるかを事前に整理しておくべきだ。
外国人本人にはキャリアの見える化が重要になる
外国人側から見れば、今後は「清掃の仕事で日本へ行く」という選択だけではなく、育成就労、特定技能1号、特定技能2号という段階的なキャリアを比較できるようになる。企業が技能段階、昇給、責任範囲、2号試験への準備を明示できれば、採用後の定着にもつながる。反対に、長期間同じ単純作業だけを担当させれば、制度が想定する技能形成と本人のキャリア志向とのずれが大きくなる。
今後の焦点は育成就労から2号までの一貫設計
2027年4月以降の競争力を左右するのは、海外募集人数より教育能力になる可能性が高い。企業は今の段階から、現場指導者、日本語教育、安全教育、技能評価、1号試験、さらに2号への昇格までを一枚の育成表に落とし込みたい。特に2号合格率が現状低いことを踏まえれば、外国人本人へ将来像だけを示すのではなく、現場でどの技能と管理能力を身につければ次の段階へ進めるのかを具体化することが、今後の採用・定着戦略の中心となる。