特定技能・育成就労が一体運用へ、2027年4月を前に企業の外国人採用は「制度横断型」へ転換
2026年9月15日
育成就労制度は2027年4月1日に施行予定で、政府は特定技能との一体的な分野別運用を具体化している。企業は単年度採用から、育成就労を入口に特定技能へ接続する中長期人材計画への転換を迫られる。
2027年4月施行へ、制度設計は実施段階に入った
外国人材受入れ制度は、2027年4月1日の育成就労制度施行を前に大きな転換点を迎えている。出入国在留管理庁は2026年に入り、育成就労制度の運用要領、分野別運用方針、二国間協力覚書などを相次いで更新しており、9月2日にも二国間協力覚書に関する情報を更新した。企業にとって重要なのは、育成就労が技能実習の名称変更ではなく、特定技能への移行を前提に人材を育成・確保する制度として設計されている点だ。
2024年6月21日に公布された改正法は、一部を除き2027年4月1日に施行される。政府は2026年1月23日、特定技能制度と育成就労制度の分野別運用方針を一体的に決定した。今後の外国人採用は、技能実習、特定技能を別々の制度として扱う方法から、育成就労で人材を育て、一定の技能・日本語能力を身に付けた人材を特定技能1号へ移行させる連続的な設計へ変わる。
約123万人の受入れ枠が示す制度の規模
出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aでは、2028年度末までの受入れ見込数について、1号特定技能外国人80万5,700人、育成就労外国人42万6,200人、合計約123万人と説明されている。これは無制限な受入れを意味するものではない。政府は日本人の雇用機会や処遇への影響を考慮し、生産性向上や国内人材確保を行ってもなお不足すると見込まれる人数を基礎に、分野別の受入れ上限を設定する。
したがって、企業側は「外国人なら必要なだけ採用できる」と考えるべきではない。分野ごとの受入れ状況、技能評価試験の実施能力、送出国との協力関係などが採用可能数を左右する。実際、政府の有識者会議では2026年9月、外食業分野の特定技能1号について受入れ見込数上限への対応が議題となった。今後は人手不足の大きい分野ほど、受入れ枠の消化状況を採用計画に組み込む必要がある。
企業は「採用人数」ではなく3〜5年後まで設計する
受入れ企業が今から準備すべきなのは、2027年度に何人採用するかだけではない。育成就労で採用した人材をどの職務で育成し、いつ技能評価試験や日本語試験を受験させ、誰を特定技能1号へ移行させるかまで設計する必要がある。さらに2号対象分野では、将来的な特定技能2号への移行も人事制度に組み込める。
そのためには、日本人従業員と外国人従業員の賃金体系、教育担当者、職務評価、技能試験対策、日本語教育、住宅・生活支援を個別業務として扱わず、人材育成制度として統合することが望ましい。単に海外から人材を連れてくるだけの採用モデルでは、数年後に育成した人材が定着しない可能性がある。
外国人本人にとってもキャリアの可視化が進む
外国人側から見れば、育成就労から特定技能へ技能水準を段階的に高めるルートが明確になることは大きな変化だ。一方で、試験合格、日本語能力、勤務実績などがその後のキャリアに直結するため、「来日できればよい」という採用説明では不十分になる。入国前から3年後、5年後にどの在留資格、職位、給与水準を目指せるのかを説明できる企業ほど、人材獲得で優位に立つ可能性がある。
今後の焦点は分野別運用と送出国との実務接続
制度の大枠は固まったが、実務では分野別の上乗せ基準、技能評価試験、監理支援機関、送出機関、二国間取決めなど確認事項が残る。企業は2027年4月を待って準備を始めるのでは遅い。現在の技能実習生・特定技能外国人の構成を整理し、今後3〜5年間に必要な人数と職種を算定した上で、育成就労から特定技能への移行モデルを2026年度中に作ることが現実的な対応となる。