特定技能の最新動向2026年8月版:19分野への拡大、2号業務の確認強化、2027年支援体制改正に企業はどう備えるか
2026年8月22日
特定技能制度、2026年は企業の採用実務に直結する変更が相次ぐ
外国人採用を行う企業にとって、2026年の特定技能制度は重要な転換期を迎えています。特に注意したいのは、特定技能1号の対象が従来よく知られていた「16分野」から、現在は19分野となっている点です。2026年1月23日の政府決定により、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環が新たに受入れ対象として位置付けられ、既存分野についても制度運用や試験、申請方法の整備が進められています。
さらに出入国在留管理庁は2026年8月5日、「2号特定技能外国人の業務内容について」を公表しました。特定技能2号は、単に1号より長く日本で働ける資格というだけではなく、熟達した技能を持ち、自ら判断して専門的な業務を行ったり、複数の作業員を指導したり、工程管理を担ったりすることが想定されています。企業側も、2号人材をどのようなポジションで働かせるかをより明確にする必要があります。
ニュースの要点
- 特定技能の対象は現在19分野。介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業に加え、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環が位置付けられています。
- 2026年3月末時点の特定技能1号在留者数は速報値で404,527人。政府が令和11年3月までの受入れ見込数として設定した合計805,700人に対し、約50.2%に達しています。
- 2026年8月5日、出入国在留管理庁が特定技能2号の業務内容に関する取扱いを公表。2号では指導・工程管理等を含む熟練レベルの業務が重要になります。
- 2027年4月1日から、特定技能1号の支援責任者・支援担当者に関する要件が改正されます。企業の自社支援だけでなく、登録支援機関にも大きな影響があります。
制度への影響:16分野から19分野へ
外国人採用担当者の資料や求人ページでは、現在も「特定技能16分野」という表現が残っているケースがあります。しかし2026年時点では19分野を前提として制度を確認する必要があります。新規分野では試験制度や申請実務が順次整備されているため、「対象分野になった=直ちにどの候補者でも採用できる」という意味ではありません。希望する職種について、技能試験、業務区分、受入れ機関の要件、分野別協議会等の手続を個別に確認することが重要です。
特に物流倉庫、リネンサプライ、資源循環など、新たに制度へ入った分野を利用する企業にとっては、これまで技術・人文知識・国際業務などでは採用が難しかった現場職について、新しい採用経路になる可能性があります。
企業への影響:特定技能2号を「管理・熟練人材」として設計する
特定技能2号については、1号と同じ仕事を長期間担当させればよいという考え方には注意が必要です。出入国在留管理庁は、2号に求められる技能について、長年の実務経験等による熟達した技能を前提とし、複数の作業員の指導や工程管理など、1号とは異なる水準の業務が分野別に定められていると説明しています。
そのため企業では、2号への移行候補者について、職務記述書、組織図、担当工程、部下・後輩への指導実績、実務経験証明などを早い段階から整理しておくことが実務上有効です。将来の2号移行を前提とするなら、採用時点からキャリアパスを設計することが重要になります。
インドネシア人材との関係
インドネシアは、日本の特定技能制度における主要な人材供給国の一つです。出入国在留管理庁の資料では、2025年12月末の特定技能在留外国人390,296人のうち、インドネシア国籍は86,955人、22.3%を占めています。ベトナムに次ぐ大きな人材層となっており、2024年12月末の53,538人から大幅に増加しています。
また、2026年8月時点でもインドネシアでは日本語基礎テストのほか、建設、自動車整備、宿泊、木材産業など複数の特定技能関連試験の日程が設定されています。過去の政府資料でも、介護、農業、飲食料品製造業、外食業など幅広い分野でインドネシアが海外試験実施国となっています。したがって、インドネシア国内で日本語教育と技能教育を組み合わせ、合格者を計画的に採用するモデルは、企業にとって重要性が高まっています。
一方、インドネシア人だから自動的に特定技能で採用できるわけではありません。分野ごとの技能要件、日本語能力、在留資格申請に加え、日本とインドネシア間の二国間取決めやインドネシア側の送出し手続についても確認が必要です。
実務上の確認事項
1.自社の職種が19分野のどこに該当するか
会社の業種ではなく、外国人本人が実際に従事する業務を基準として確認してください。分野内でも業務区分が設定されています。
2.技能試験と日本語試験の合格状況
海外から直接採用する場合は、原則として対象分野の技能試験と必要な日本語試験の条件を確認します。技能実習から移行するケースでは、試験免除の可否を職種・作業との対応関係から確認する必要があります。
3.1号支援体制を2027年改正に合わせて点検する
2027年4月1日からは、支援を行う事業所ごとに支援責任者及び支援担当者を常勤の役員・職員から選任することなどが求められます。支援責任者には養成講習の受講も義務付けられる予定です。また登録支援機関では、支援責任者等1人当たりの委託先機関数や支援する1号特定技能外国人数について上限基準が設けられます。
4.2号候補者は仕事内容と管理経験を記録する
将来的な2号移行を検討する場合、試験合格だけではなく、実際にどの程度の熟練業務、指導、工程管理を担当しているかを社内で記録しておくことが重要です。
5.インドネシア採用では現地教育から逆算する
求人を出してから候補者を探すだけではなく、採用予定日から逆算して日本語教育、技能試験、面接、雇用契約、現地手続、在留資格認定証明書交付申請、入国までの工程を管理する方法が適しています。
今後の見通し
特定技能制度は「人手不足を補う制度」から、外国人材が日本企業の中で長期的にキャリアを形成する制度へと性格を強めています。特に2号人材の増加、育成就労制度との接続、新分野の運用開始により、企業側には単年度の人数確保ではなく、1号採用から教育、定着、2号への育成までを含めた人材戦略が求められるでしょう。
インドネシアについても、特定技能在留者数が急増していることから、日本企業にとって主要採用国としての重要性は高まっています。現地での日本語教育、技能教育、採用面接を一体化できる体制を持つ企業や教育機関との連携が、今後の採用力を左右する可能性があります。
まとめ
2026年8月時点の特定技能制度では、従来の「16分野」という理解を更新し、19分野を前提に採用計画を立てることが第一歩です。同時に、特定技能2号の業務内容の明確化、2027年4月からの1号支援体制改正への準備も始める必要があります。
企業の人事担当者は、採用人数だけでなく、「どの分野・業務区分で採用するのか」「誰が支援するのか」「1号から2号へどのように育成するのか」を一体で設計することが重要です。特にインドネシア人材を採用する場合は、現地試験と教育の状況を確認しながら、中長期の人材育成型採用へ移行することが実務上のポイントになります。