【2027年4月施行】特定技能1号の支援体制が大幅改正へ|登録支援機関・受入れ企業が2026年中に準備すべきこと
2026年8月23日
導入
特定技能外国人を採用している企業や登録支援機関にとって、2027年4月1日は重要な制度変更日となります。出入国在留管理庁は2026年7月28日、「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正」について公表しました。
今回の改正は、特定技能1号外国人への支援をより適正に実施するため、支援責任者・支援担当者の配置や資格、支援業務を担当できる人員などについて新しい基準を設けるものです。施行日は2027年4月1日です。
特定技能人材を継続的に採用する企業だけでなく、企業から支援業務を受託している登録支援機関にとっても、人員配置や組織体制を見直す必要がある重要な改正です。
ニュース要点
出入国在留管理庁が公表しているQ&Aによると、2027年4月1日から施行される支援体制の主な改正点は4つです。
- 支援責任者と支援担当者を事業所ごとに配置する。
- 支援責任者・支援担当者は、それぞれ常勤の役員または職員から1名以上選任する。
- 支援業務に従事できる者を支援責任者・支援担当者に限定する。
- 支援責任者に対し、入管法や労働関係法令などに関する支援能力向上のための養成講習の受講を義務付ける。
なお、支援責任者が支援担当者を兼務することは可能とされています。
登録支援機関には人員数の基準も
特に登録支援機関が注意したいのが、支援担当者の人数に関する基準です。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、登録支援機関について、支援担当者数が支援業務の委託を受けている特定技能所属機関数を10で割った数を超え、かつ、支援を行っている1号特定技能外国人数を50で割った数を超えていることが要件として示されています。
これは、受託企業や支援対象外国人が増加している登録支援機関にとって重要な変更です。これまでの人員配置のまま多数の企業・外国人を担当している場合、2027年4月までに必要な支援担当者数を計算し、増員や組織再編を検討する必要があります。
企業・受入れ機関への影響
今回の改正は登録支援機関だけの問題ではありません。1号特定技能外国人への支援を自社で行う特定技能所属機関、つまり受入れ企業にも関係します。
特定技能1号では、外国人が日本で安定して生活・就労できるよう、事前ガイダンス、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続への同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、定期面談などの支援が制度上求められています。
今回の改正により、単に「社内の誰かが外国人をサポートする」という運用ではなく、誰を支援責任者・支援担当者として配置し、どの事業所で、どの外国人を担当するのかを明確に管理することがこれまで以上に重要になります。
支援担当者の中立性にも注意
支援担当者を選任する際には、中立性にも注意が必要です。出入国在留管理庁は、1号特定技能外国人に対する指揮命令権を持つ者などは、支援計画を中立に実施する立場として適切ではないと説明しています。
例えば、外国人本人とは異なる部署の職員であっても、代表取締役や外国人が所属する部署を監督する上司など、組織図上で外国人を監督する立場にある者については適格性がないとされています。また、受入れ機関の役員の配偶者や2親等内の親族などについても注意が必要です。
企業が自社支援を行っている場合は、現在の担当者が新しい基準を満たすのかを早めに確認する必要があります。
インドネシア人材の受入れへの影響
今回の支援体制改正は国籍別の制度ではないため、インドネシア人を特定技能1号として受け入れる場合にも同じ基準が適用されます。
インドネシアから特定技能人材を採用する場合、採用前の日本語教育や分野別技能試験への対応だけでなく、日本入国後の生活支援までを一体的に設計することが重要です。特に多数のインドネシア人材を継続的に採用する企業では、採用人数の増加に合わせて支援体制が十分かどうかを確認する必要があります。
また、日本とインドネシアの間では特定技能に関する二国間の協力枠組みがあります。出入国在留管理庁によれば、インドネシアではP3MIと呼ばれる職業紹介事業者の利用は任意とされています。日本側の在留手続だけでなく、インドネシア側の送出し・職業紹介に関する最新手続も確認しながら採用を進めることが必要です。
実務上の確認事項
2027年4月の施行までに、受入れ企業・登録支援機関は次の項目を確認しておくとよいでしょう。
- 現在の支援責任者・支援担当者を一覧化する。
- 各担当者が常勤の役員・職員という新要件に対応できるか確認する。
- 複数事業所がある場合、事業所ごとの配置体制を確認する。
- 支援担当者が外国人への指揮命令権を持っていないかなど、中立性を確認する。
- 登録支援機関は、受託している企業数と支援外国人数から必要な支援担当者数を確認する。
- 支援責任者に必要となる養成講習について最新情報を確認する。
- 外国人ごとの支援記録、相談対応、定期面談等の管理方法を再点検する。
今後の見通し
2027年4月1日には、技能実習制度を発展的に解消して創設される育成就労制度の運用開始と、特定技能制度の適正化に関する改正が予定されています。
育成就労制度は人材育成と人材確保を目的とし、特定技能1号への移行を見据えた制度として設計されています。そのため今後、企業の外国人採用は「海外から採用して入国させる」だけではなく、教育、育成就労、特定技能への移行、生活支援、キャリア形成までを含めた中長期的な人材戦略として考える必要性が高まります。
特にインドネシアなど海外で人材教育を行い、日本企業へ継続的に人材を送り出す仕組みでは、入国前教育と日本国内の支援体制を切り離さずに設計することが重要になります。
まとめ
2027年4月1日から、特定技能1号外国人への支援体制に関する要件が強化されます。支援責任者・支援担当者の常勤化と事業所ごとの配置、支援業務従事者の限定、支援責任者への養成講習、登録支援機関における担当者数の基準などが重要な変更点です。
施行直前になって人員不足が判明すると、外国人採用や支援業務に影響する可能性があります。特定技能外国人を受け入れている企業や登録支援機関は、2026年中から現在の支援体制を棚卸しし、2027年4月施行に向けた準備を始めることが重要です。