特定技能・育成就労の分野別運用を一体化、受入れ上限は計123万1,900人 2027年4月の新制度開始へ企業準備が本格化
2026年9月15日
政府は特定技能と育成就労の分野別運用方針を一体化し、2028年度末までの受入れ上限を特定技能1号80万5,700人、育成就労42万6,200人に設定した。企業は2027年4月の制度開始を見据えた採用計画の再設計が必要になる。
特定技能と育成就労を一体で設計する段階へ
外国人材の受入れ制度が2027年4月1日の育成就労制度開始に向けて大きく組み替えられている。政府は2026年1月23日、特定技能制度と育成就労制度について分野別運用方針を決定し、従来別々だった制度を、人材育成から特定技能への移行を見据えた一つの政策体系として整理した。出入国在留管理庁が2026年7月に公表した制度概要では、2028年度末、すなわち2029年3月末までの受入れ見込数について、特定技能1号を80万5,700人、育成就労を42万6,200人、合計123万1,900人としている。
この数字は現在の在留者に追加して123万人を受け入れるという意味ではない。政府は分野ごとに人手不足数、生産性向上、国内人材確保の取組を踏まえて受入れ見込数を設定し、制度上の上限として運用する。出入国在留管理庁のQ&Aでは、各分野の在留者数が上限を超えることが見込まれる場合、特定技能1号では在留資格認定証明書の交付を一時停止し、育成就労では育成就労計画の認定を一時停止する仕組みも示されている。
特定技能1号の分野構成も変化
2026年6月1日時点で特定技能の受入れが可能な分野には、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業が掲載されている。さらに政府の新たな分野別方針には物流倉庫、資源循環なども位置付けられ、必要な省令等の公布・施行後に受入れ開始を予定する分野がある。
企業にとって重要なのは、「特定技能で外国人を採用する」という一括りの発想から離れることだ。対象業務、技能試験、日本語水準、協議会加入、受入れ機関に課される条件は分野によって異なる。新しい業務区分が追加されても、自社の仕事内容がその区分に該当するかを確認せずに採用を進めることはできない。
育成就労から特定技能1号、2号へ続く人材経路
新制度の特徴は、育成就労を原則3年間の人材育成期間として位置付け、その後の特定技能1号への移行を制度設計の中に組み込んだ点にある。技能実習が「技能等の移転による国際協力」を目的としていたのに対し、育成就労は日本の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする。この目的変更は、企業の外国人採用を短期的な労働力確保から中長期の人材育成へ転換させる。
一般的な制度設計では、育成就労開始時、1年経過時、本人意向による転籍時、育成終了時・特定技能1号移行時、さらに特定技能2号へと、日本語能力と技能水準を段階的に高める考え方が採られている。分野によって個別基準があるため、企業は自社分野の運用方針を確認しなければならない。
企業は採用人数だけでなく3~5年後まで設計を
受入れ企業が2026年度中に準備すべきなのは、単年度の採用人数だけではない。どの国から採用するか、入社時の日本語力をどこまで求めるか、誰が教育を担当するか、特定技能1号への移行をどの時点で支援するか、2号対象分野では誰を管理・指導人材へ育てるかまで人事計画に組み込む必要がある。
外国人本人にとっても制度変更の意味は大きい。育成就労から特定技能1号、その先の2号へ進める経路が明確になる一方、段階ごとに技能・日本語要件を満たさなければならない。企業が試験直前だけ日本語研修を行う方式ではなく、入社後から継続的な学習機会を確保することが定着にも直結する。
今後は分野ごとの省令・運用要領を追う
2027年4月の施行までには、分野別の運用要領、試験、送出国との協力覚書、監理支援機関、育成就労計画など実務情報がさらに具体化される。企業は制度全体のニュースだけを見るのではなく、自社が属する分野の所管省庁と出入国在留管理庁の更新情報を定期的に確認し、採用契約や教育計画を最新版へ合わせる必要がある。