漁業の外国人材制度が「育成から特定技能」へ接続、水産庁がキャリア形成プログラムを具体化
2026年9月6日
水産庁は漁業分野で2027年4月開始の育成就労を見据え、育成・キャリア形成プログラムを公表した。特定技能1号への移行を前提に、漁業会社や漁協には採用後3年間の技能形成を逆算した教育設計が求められる。
漁業で「採用後の育成」を制度として設計する段階へ
水産庁は、2027年4月1日に始まる育成就労制度を見据え、漁業分野の「育成・キャリア形成プログラム」を2026年5月28日の漁業育成就労協議会で決定した。育成就労は原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成する制度であり、漁業会社、養殖事業者、漁協などは、外国人を単なる補助労働力として配置するのではなく、特定技能への移行まで含めた教育工程を準備する必要がある。
特定技能と育成就労は別制度だが、人材ルートは連続する
水産庁によると、漁業分野では特定技能と育成就労の双方が外国人材受入れの対象となる。育成就労制度の目的は、人手不足分野で3年間の就労を通じて特定技能1号水準まで人材を育成し、同時に人材を確保することにある。従来の技能実習が技能移転による国際貢献を制度目的としていたのに対し、企業の人材確保と本人の技能形成を正面から制度目的に置く点が大きく異なる。
一方、現行の特定技能制度も引き続き重要である。漁業分野で特定技能外国人を受け入れる場合、技能測定試験など所定の要件を満たす必要があり、受入れ企業側にも分野固有の基準が課される。特に初めて漁業分野の特定技能外国人を受け入れる機関は、2024年6月15日以降、在留資格認定証明書交付申請の前に漁業特定技能協議会へ加入する必要がある。
企業は3年間の教育工程を採用前に作る必要がある
実務上の重要点は、海外採用の考え方が変わることである。採用時点で日本語と技能を確認するだけでは足りず、乗船・漁具・漁獲物処理・安全衛生など、実際に担当させる業務に応じて、どの段階で何を習得させるかを明文化する必要がある。指導担当者、教育記録、技能評価の時期、日本語教育、試験準備を一体化しておかなければ、制度上の育成目標と現場配置が乖離する。
特に漁業では海上作業、早朝・夜間作業、天候による勤務変更など陸上産業とは異なる労働環境がある。外国人本人が契約前に勤務形態、休日、賃金計算、住居、食事、乗船期間などを理解できる説明体制も重要になる。制度上認められた在留資格であっても、実際の労働条件や担当業務が説明内容と異なれば、定着を損なう要因となる。
採用担当者が今から確認すべき事項
漁業事業者は、現在の技能実習、特定技能1号、特定技能2号の在籍者を整理したうえで、2027年度以降の採用を育成就労から始めるのか、海外で試験に合格した特定技能人材を直接採用するのかを分けて計画する必要がある。漁業特定技能協議会と漁業育成就労協議会は制度上の役割が異なるため、加入手続を混同しないことも重要だ。
外国人本人にとっては、入国そのものではなく、その後にどの技能を身につけ、いつ特定技能1号へ進み、さらに長期的なキャリアをどう形成するかが重要になる。受入れ企業がこの道筋を採用段階から示せるかどうかは、今後の人材獲得競争でも差になる。
今後の焦点
2027年4月の育成就労施行までに、試験、監理支援、協議会運営、分野固有基準などの実務がさらに具体化される。漁業事業者は施行直前に対応するのではなく、2026年度中に教育担当者、技能育成表、日本語教育、安全教育、特定技能移行までの社内工程を整備しておくことが現実的である。情報確認日は2026年9月6日。