工業製品製造業の特定技能1号が17区分へ 2026年追加7区分と申請開始条件を整理
2026年9月5日
2026年1月の閣議決定で工業製品製造業の業務区分が拡大した。1号特定技能は17区分となり、新設7区分では告示施行や評価試験開始の時期によって在留申請可能時期が異なる。
製造業は「17業務区分」の制度へ
工業製品製造業分野では2026年1月の閣議決定を受け、特定技能1号の対象業務区分が17区分に拡大した。経済産業省は、電線・ケーブル製造、プレハブ住宅製品製造、家具製造、定形・不定形耐火物製造、生コンクリート製造、ゴム製品製造、かばん製造の7区分が追加されたと公表している。製造企業にとって重要なのは、「自社が製造業だから特定技能を採用できる」という判断ではなく、事業所の産業分類と外国人が実際に従事する業務区分の双方が制度要件に合致しているかを確認することである。
追加区分は閣議決定だけで直ちに採用できるわけではない
2026年追加の7区分では、在留諸申請を開始できる時期に注意が必要だ。経済産業省は、追加区分について経産省告示が施行され、対応する特定技能評価試験が実施された段階で、原則として地方出入国在留管理官署への在留諸申請が可能になると説明している。一方、追加区分に対応する技能実習2号を良好に修了した者については、経産省告示が施行された2026年6月1日以降に申請可能とされている。したがって海外から新規採用する試験ルートと、技能実習から移行するルートでは採用開始時期が同じとは限らない。
1号17区分と2号3区分は対象範囲が違う
経済産業省が公表する制度では、工業製品製造業分野の1号特定技能外国人が従事できる業務は17区分である一方、2号特定技能は3区分となっている。この違いはキャリア設計上重要である。企業が1号で採用した外国人全員について、同一業務のまま当然に2号へ移行できるとは限らない。本人が将来の長期就労を希望する場合には、採用時点から現在の業務区分、2号対象業務、試験・実務経験要件を照合し、中長期の配置転換や技能形成を検討する必要がある。
事業所の日本標準産業分類と業務内容を照合
製造業特有の実務課題が「事業所の産業分類」である。経済産業省は、特定技能外国人が活動する事業所の日本標準産業分類上の産業と、外国人が従事する業務区分について想定される組み合わせ表を公開している。企業グループ全体では対象製品を製造していても、外国人の所属事業所が別機能の拠点であれば審査上の説明が必要になる可能性がある。人事部だけで判断せず、生産管理部門、工場責任者、総務部門が共同で、製造品目、工程、設備、売上構成、産業分類を確認しておくべきだ。
協議会制度も2026年5月に運用を更新
経済産業省は製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会の設置・運営要領を2026年5月8日に一部改正し、第15回会合を同日に開催した。協議会には一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)も位置付けられている。製造業では対象事業所や業務区分の確認が採用手続と密接に関係するため、企業は最新の協議会ルール、必要な届出、申請時の証明資料を採用開始前に確認しておくことが重要である。
外国人本人は求人票の「製造業」という表記だけで判断しない
外国人側は、仕事内容が制度上のどの業務区分に該当するのかを確認する必要がある。例えば同じ工場でも、対象工程と対象外の作業が混在する可能性がある。関連業務を行うこと自体が直ちに問題になるわけではないが、特定技能の活動として認められた業務が主たる仕事でなければならない。採用時には日本語の求人票だけでなく、母語等も活用して製造工程、担当作業、勤務工場、交替勤務、安全ルールを具体的に説明することが望ましい。
企業は採用人数より先に「区分判定」を固める
2026年の対象拡大によって製造業の採用余地は広がったが、制度利用の可否を業種名だけで判断することは危険である。企業が先に行うべきなのは、対象事業所の産業分類、外国人が担当する業務区分、利用する試験または技能実習修了ルート、協議会関係手続を一つの採用台帳に整理することである。特に追加7区分では試験開始状況が申請可能時期に影響するため、採用予定日から逆算して最新情報を確認し続ける必要がある。