特定技能「介護」の訪問系サービス就労が本格化 実務経験1年以上を原則に適合確認・キャリア計画が必要
2026年9月5日
特定技能の介護人材は2025年4月21日の制度改正により、一定の研修・実務経験と受入れ事業所の体制を条件に訪問系サービスへ従事可能となった。事業所には適合確認やキャリアアップ計画など追加実務が求められる。
特定技能外国人が訪問系サービスへ
厚生労働省は2025年4月21日の告示等改正により、一定の条件を満たす特定技能外国人について訪問系サービスへの従事を認めた。従来、特定技能の外国人介護人材は施設系サービスを中心に配置されてきたが、訪問介護等の深刻な人手不足を踏まえ、利用者の自宅で単独対応する可能性がある業務にも対象が広がった。ただし、通常の施設配置と同じ手続だけで訪問業務へ配置できるわけではない。
初任者研修等と実務経験が必要
厚労省によると、対象となる特定技能外国人は介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等における実務経験を有していることが必要で、実務経験は原則として1年以上とされる。訪問系サービスでは利用者宅で状況を判断し、本人や家族との意思疎通、緊急時対応を行う場面があるため、入国直後の人材を直ちに単独訪問へ配置することを想定した仕組みではない。
受入れ事業所は適合確認書の取得が必要
特定技能外国人を訪問系サービスに従事させる場合、受入れ機関は所定の遵守事項を履行できる体制を整え、必要書類を関係機関に提出して適合確認書の発行を受ける必要がある。単に本人が初任者研修を終えているだけでは足りず、事業所側の教育・安全管理・相談対応・同行支援などの体制も審査対象となる。
外国人ごとのキャリアアップ計画も作成
適合確認を受けた事業所では、対象となる外国人介護人材ごとにキャリアアップ計画を作成する必要がある。訪問介護では日本語での利用者対応、記録、報告、緊急連絡、生活習慣への理解など施設内勤務とは異なる能力が求められる。事業者は訪問件数を増やすことだけを目的とせず、同行期間、単独訪問開始の判断基準、定期面談、日本語教育、事故時の連絡体制を具体化すべきである。
登録支援機関だけに任せない
生活支援や行政手続を登録支援機関へ委託していても、介護サービスの質と安全に関する責任は受入れ事業者が負う。利用者宅で起きる業務上の問題は、一般的な特定技能支援だけでは対応できない。サービス提供責任者、現場指導者、人事担当者、登録支援機関の役割を分け、外国人が困った場合に誰へどの言語で連絡するかを明確にする必要がある。
人手不足対策とサービス安全を両立
訪問介護への対象拡大は介護事業者の採用選択肢を増やす一方、外国人を安価な人手として単独訪問へ送り出す制度ではない。企業は採用時点で実務経験、研修修了、日本語力、訪問業務への本人意思を確認し、適合確認書やキャリアアップ計画を準備したうえで配置する必要がある。外国人本人にとっても、訪問介護経験は将来の介護福祉士取得や長期的なキャリア形成につながり得るため、教育と評価を記録として残すことが重要だ。情報確認日は2026年9月5日。