求職者の早期離職に関する留意事項
(特定技能外国人の紹介を含む)
職業紹介事業者においては、紹介により就職した求職者が短期間で離職することのないよう、継続的な雇用関係の確保に向けた責任ある運営が求められています。以下の事項は、厚生労働省の指針や職業安定法に基づき明確に定められているものであり、特定技能外国人の紹介においても適用されます。
1. 転職の勧奨禁止(2年間)
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自社の紹介により就職した者(※無期雇用契約に限る)に対しては、就職日から2年間、転職を促す行為(勧奨)を行ってはなりません。
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転職あっせんによる手数料目的の循環紹介等は、強く問題視される行為です。
2. 手数料返戻制度の整備
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紹介した人材が早期離職した場合に備え、求人者に対する返戻金制度(返金規定)を設けることが望ましいとされています。
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これはトラブル防止と信頼確保のため、ビジネス的にも重要な対応策となります。
3. 手数料の明示義務
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求職者・求人者双方に対して、事前に受領する手数料の額や内訳を明示する義務があります。
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特に特定技能においては、外国語での説明責任も考慮すべきです。
4. お祝い金等の支給の自粛
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求職者の勧誘にあたって、お祝い金・紹介特典などの金銭を支給する行為は望ましくありません。
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安易な誘引は職業紹介の公正性を損ね、労働者保護の観点からも問題となります。
■ 補足事項
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(※1)無期雇用契約者が対象。
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(※2)職業安定法により、原則として求職者からの手数料徴収は禁止されています(例外:特定の高度専門職などを除く)。
■ 総括
職業紹介事業者にとって、紹介後の定着率の確保は社会的責任であり、長期的な信頼構築にも直結します。特に外国人材、特定技能人材の紹介においては、言語・文化の違いによる離職リスクを十分に踏まえた上で、適正かつ透明性の高い紹介活動を徹底することが不可欠です。再就職を目的とした短期転職の勧奨や、利益追求型の回転型紹介などは厳に慎み、法令を遵守した事業運営に努める必要があります。