求職の受理に関する留意事項
(不法就労の防止と在留資格確認の徹底)
職業紹介事業者は、外国籍求職者の申込みを受理する際に、不法就労をあっせんしないよう最大限の注意を払う必要があります。特に、在留資格や在留期間の確認を怠った結果、不法就労を助長する事態が発生すれば、職業安定法違反に加え、出入国管理法違反に問われる可能性があります。
■ 1. 在留資格・在留期間の確認義務
求職の申込みを受ける際には、以下の対応を原則とします:
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在留カードやパスポートなどの提示を求める(※求職者の同意を得た上で実施)
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提示された在留資格が、希望する職種での就労を許可しているか確認
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在留期間の有効性を確認し、満了間近の場合は更新状況も確認
🔍【確認ポイント例】
「技術・人文知識・国際業務」→ 専門職に限定される
「留学」「家族滞在」→ 原則就労不可(資格外活動許可が必要)
「特定技能」→ 認められた分野・業務内容に限定
在留カードの有効期限や就労制限欄の記載内容にも注意
■ 2. 紹介先の業務内容との整合性
紹介する企業や職務内容が、在留資格で許可された活動範囲に合致しているかを確認することも不可欠です。
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職種のミスマッチによる就労は不法就労に該当
例:通訳ビザ保持者に工場のライン作業を紹介する等 -
受入企業にも就労資格の適用範囲を説明し、確認を徹底
■ 3. 不法就労助長行為のリスクと対応責任
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不適切な在留資格の外国人を紹介した場合、職業紹介事業者が不法就労助長罪の責任を問われるリスクがあります。
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入管法第73条の2では、不法就労助長行為は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」と定められています。
■ 4. 実務上の留意点
項目 | 対応の推奨事項 |
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在留資格確認 | 在留カード提示を求め、資格種別と有効期限を確認 |
同意取得 | 個人情報の保護を前提に、本人の同意を明確に取得 |
記録管理 | 確認内容を記録として残し、紹介後のトラブル防止策とする |
企業説明 | 紹介先企業にも外国人材の在留資格と就労範囲を事前に説明 |
■ 総括
適切な職業紹介業務を遂行するためには、外国人求職者の在留資格・在留期間を確実に確認し、法令に基づいた紹介を行うことが事業者の責務です。
特に特定技能人材を扱う場合は、制度上の制限が明確に定められているため、在留カードの確認・記録・紹介先業務内容との整合性のチェックを徹底する必要があります。
透明性と法令遵守に基づく紹介体制を構築することで、行政・企業・求職者のすべてに対して信頼性の高いサービスを提供することが求められます。