職業紹介事業におけるその他の留意事項
(国外紹介・特定技能人材に関する重要な運用上の注意点)
職業紹介事業を行うにあたり、以下の事項についても十分に配慮し、トラブルや法令違反の発生を未然に防ぐ体制づくりが求められます。
1. 国外紹介における在留資格取得の不確実性と契約管理
国外にわたる職業紹介では、求職者が日本の在留資格(ビザ)を取得できないケースが一定の確率で発生することを前提に業務設計を行う必要があります。
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在留資格が交付されなかった場合の責任範囲や費用負担等について、求人者との事前合意が不可欠です。
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特に以下の内容を明確に契約・確認することが望まれます:
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手数料の金額と内訳
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支払い時期と条件(在留資格交付後、入国後等)
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不交付時の返金または債務整理条項
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✅ 事前に書面による契約内容の明確化が、後の紛争防止につながります。
2. 特定技能における地域偏在の回避と協議会の規定遵守
特定技能制度においては、特定の都市部に人材が集中することを防ぐため、分野別に設置された協議会において、地域バランスや引き抜き行為の抑制に関する対応策が示されています。
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これらの協議会は、分野所管省庁の主導により設置され、受入れ機関、業界団体、関係行政機関等で構成されています。
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協議会では、以下の役割を担っています:
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制度運用に関するガイドラインの策定
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地域バランスに配慮した受入方針の周知
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引き抜きや偏在に対する自粛要請
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法令遵守の啓発・指導
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✅ 特に大都市圏への過度な集中を避けるための方針や要請には、紹介事業者としても十分な理解と協力が求められます。
■ 総括
職業紹介事業における適正な運営を実現するには、法令遵守だけでなく、制度の趣旨や関係機関のガイドラインへの理解と連携が不可欠です。
国外紹介に伴う在留資格取得のリスクや、特定技能制度における地域バランスへの配慮など、制度の根幹に関わる留意点については、契約管理・情報共有・行政対応の各面で事前準備を徹底することが、信頼性の高い紹介ビジネスの構築につながります。